分科会K



世界の不平等

〜発展途上国の実態から、The quality of lifeを考える〜

菅原 聖

世界には多くの不平等が存在する。

経済的側面から見てみよう。地球上では約12億人が1日1ドル未満の生活を強いられており、5億人が飢えや栄養不足に苦しんでいる。その一方で、100万ドル以上の金融資産を持つ人が世界に950万人おり、北欧・欧・日がその9割以上を占める。富者がモノの86%を消費し、貧者の消費はわずか1,3%である。このドラスティックな経済構造は21世紀の現代においても中世期と何ら変わらぬ不平等が世界に存在することを端的に示している。

私は人間の根源的不平等に興味がある。その不平等は経済的なものに限らず、身体能力であったり、生まれ持った才能であったり、カテゴリーは問わない。しかし、数ある不平等の中で最も私が納得できない不平等は、「機会を与えられない不平等」である。

例えば、難民がそれに挙げられよう。紛争地域に生まれたというだけで戦闘に巻き込まれ、財産、家族、自らの生きる社会、時にはその人の生きる意味さえも奪われ、人は絶望に陥る。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による支援対象者の数は2005年末から2006年末にかけて新たに1190万人増加している。この事実は数字で見る以上に深刻な問題だ。

貧困地域に住む子供たちはどうだろう?貧困という不平等がもたらす影響をダイレクトに受けるのは、常に子供たちだ。現在、3秒に1人の子供が、貧困を原因とする病気や飢えで死んでいる。また、人身売買による強制労働や性的虐待なども見逃せない。

紛争により伝統的な生活を奪われた女性たちはどうだろうか?彼女たちは身体の安全、職業選択の機会、財産、土地の所有権を持たず、人身売買の対象となっていく。誘拐や、ときには家族の手によって売られる彼女たちはレイプや売春、望まぬ妊娠を強いられる。

これらの問題を前に、いきなり解決に向け議論することは困難であり、おそらく膨大な量の情報を前にした、知識の共有に留まってしまうであろう。そこで、これらが自身の問題であると捉えやすいように、参加者自らのThe quality of lifeのあり方を考えた上で、世界中に存在する様々な不平等に対して取り組んでいこうと思う。

当分科会では、まず自分が現在享有している生活の質、将来確保したい生活の質を述べてもらう。そして、国際機関、NGOをはじめ発展途上国への援助活動を行う団体の意見も交えながら、上記の難民問題をはじめ特定の事例を考え、問題意識を育んでいく。

その過程において、各々は今世界的に見てどの生活水準にいるのかを認識する。最終的には、「人間ならばどの程度までの生活を保障されるべきか」を明確にした上で我々が世界の不平等に対して行えるアクションを模索していきたい。

人は、人を思いやることが出来る。そのためにはまず状況を知り、話し合うことが必要だ。不平等の状況を自分に置き換えて、発展途上国の人々が抱える悲しみ、むなしさを感じ取り、自分の感情を表現していって欲しい。

21世紀は、平等な世界となるにはまだ遠い。